でーれーすげーげー

岐阜県岐阜市に在住です。ブログ名は、岐阜市近辺の方言で、とても感嘆したときに発する言葉です。

兄ちゃんの思い出

兄ちゃんと行っても、家族や親戚や知人でも何でも無い、通勤時にすれ違う特定の人の話である。

通勤の電車を降りて、勤務先まで向かう間に、大通りの歩道を500mほど歩く。歩道も広く、歩行者ゾーンと自転車ゾーンに分かれている。

自分は歩くときに、目の機能維持(になるかどうかは分からないが)のために、700m先にある歩行者信号を見つめながら歩く。そのとき歩行者と自転車のゾーンの境を歩くと、ずっと焦点を合わせることが出来てちょうど良い。歩行者ゾーンに寄ると建物の陰などに隠れるし、自転車ゾーンに寄るとよく見えるが自転車にぶつかるかもしれない。

その境にはタイルが敷かれていて点線になっているのだが、その兄ちゃんは点線の上をまっすぐこちらに向かって歩いてくる。だいたい駅から勤務先までの真ん中ぐらいですれ違うのだが、私の方がいつも避けている。

その兄ちゃんは私より少し背が低いが、恰幅はよく、顔は丸いがしかめっ面でいかにもぶつかりたくないようなタイプなので私の方で避けていた。

時間も正確だ。こちらは電車のダイヤに合わせて歩き出せるのだが、兄ちゃんもいつも時間ぴったりである。たまに駅から出てすぐに兄ちゃんに会ったりするようなときは、電車が遅れていたときで、「時計みたいに正確だなぁ」と思ったことがある。

とにかく一心不乱にまっすぐ、避けもせず歩いているから、ぶつからないのかと心配していたら、一度、他の人にぶつかったのを目撃したことがある。

私の前を、点線に沿って同じ方向に歩いて行く人がいた。すると、向こうからくだんの兄ちゃんが、点線の上をこっちに向かって歩いてきた。どちらもまっすぐ歩くから「どうなるのかな?」と興味を持って見ていると、すれ違う直前ちょっと左右に動いたが、結局肩が「ドン」とぶつかっていた。

ぶつかったあとも互いに少し歩いて、ちょっと離れたときに兄ちゃんの方が振り返っていた。しかし相手は振り返らずどんどん歩いて行く。兄ちゃんはどう思ったかまでは分からないが、すぐに戻っていつも通り歩き出していた。

私といえば、笑いをこらえるのに必死だった。

その兄ちゃんも、コロナ禍で自分が在宅勤務して、たまにしか勤務先に行かないうちに合わなくなってしまった。8月9月は出勤の方が多いのだが、すれ違うことはなくなった。

どうなったのだろう?コロナ禍での影響が大きい仕事だったのだろうか?

互いに話したことなどもちろんなく、「朝見る顔」ぐらいの認識しかないのだが、何か気になる。なんとか元気でやっていてくれると良いのだが。