でーれーすげーげー

岐阜県岐阜市に在住です。ブログ名は、岐阜市近辺の方言で、とても感嘆したときに発する言葉です。

PSPとTSP

ソフトウェア開発手法を表すことばとして、PSP(Personal Software Process)とTSP(Team Software Process)ということばがある。

PSPは頭にパーソナルと付くように、個人がソフトウェアを開発するときの手順である。降りてきた仕様書を読み取り、不完全な部分や不明点があれば関係者とすりあわせ、ルールに従いソフトウェア化していく。テスト方法は先に考えておくべきで、出来たプログラムの個別テストを行い、自分の担当部分を仕上げていく。

TSPはチームでソフトを開発するときの手法である。顧客要望を噛み砕いてシステムや仕様に落としていき、それぞれの負荷を考慮してチームやメンバーに割り振り、全体のスケジュールの整合性が崩れないよう調整して、出来てくる個別のソフトウェアをシステムにまとめ上げていく。

PSPは個人の能力に追うところが大きく、TSPはマネジメントやリーダーシップに関わる能力が重要となってくる。その2つが揃っていなくては、大きなプロジェクトはうまくいかない。どんなに優秀な個人、つまりPSPが優れた人間が集まっていても、それだけで役立つシステムを期日通りに作り上げられるかというとそうではない。実際、失敗した事例は山ほどある。

最近FBに掛ける時間がそれなりにあり、見ていてよく思うのだが、社会や経済が大きく変わって行こうとしている今、「個人の能力を上げるにはどうしたらよいか?」というPSP手法はあれこれ見られたり唱えられている。しかし、TSP的なものについて改めて見直そうとか、新しい手法を導入しようという動きが見られないようだ。

元々日本はTSPが苦手で、その最たるものが「とにかく目標達成しろ!」しかマネジメントがなかった東芝粉飾決済事件なのだろう。日本のオフィスワーカーの生産性が低いのも、TSP的なところがうまく回っていないからのように思うが、その解決策が、結局「個人が能力を磨けば解決する」というような風潮をすごく強く感じる。

もちろん間違ってはいないし、能力の低い個人はいるし、課題によっては正しいのだろうが、それだけではダメだった事例は過去にごまんとある。その分析や改善方法を考えずに「2倍の生産力を身につければ万事うまくいく!」という目標だけが立てられる。結果的に「2倍働いて2倍の生産をあげている」だけになっているのではないだろうか?

まあ、中身がほぼ個人の範疇の事柄となるSNSを見過ぎているだけかも知れず、私の知らないところで組織を進歩させている人がいるのかも知れないが。

ただ単にスローガンを叫ぶだけではなく、チームとして有効に力を発揮するためにはどうしたらよいか? 自分の課題としても、絶えず考えていきたい。