先日帰りの列車で座っていたら、隣に酔っぱらいのおじさんが座った。もうだいぶ飲んでいるようなのだが、さらにチューハイの缶を持っている。
列車が動き出してすぐに缶チューハイを開けて一口飲んだのだが、しばらくして眠ってしまった。見ると、持っている缶チューハイがいまにも落ちそうである。
「こりゃあかんわぁ」と思ったが、よく考えると酔っぱらって乗り過ごすときの私も実はこんな風なのでは?、と気がついた。そう思って見ると何となく親近感がわくのだが、今にも缶が傾きそうで、ひやひやする。
とはいうものの、あまりお節介も出来ない。そちらをチラ見しながら本を読んでいたら、案の定傾きすぎてボタボタとズボンにこぼれてしまった。「あ、こぼれてますよ!」と言いながら、手に持たせ直す。おじさんは意識もうろうとしたまま、つかみ直したようだ。
やっぱりこれは別の時の私にそっくりなのでは、と思えてくる。人事ではない!と思いそのまま様子を見ていると,ついに缶チューハイを落としてしまった。
慌てて拾って床の上に立てたが、それなりにこぼれてしまった。ただそれ以上は広がらなくなったので、黙って本を読む。
岐阜で降りると、おじさんも降りようとしながらのろのろと動くところだった。その時になってもうちょっと何かしてあげればよかったかな、と思ってももう遅い。
飲んべえの気持ちは飲んべえだけが分かる。自覚しているのだから、もう少し積極的になればよかった。反省しきり。私はもっとお節介になったほうが良さそうだ。