でーれーすげーげー

岐阜県岐阜市に在住です。ブログ名は、岐阜市近辺の方言で、とても感嘆したときに発する言葉です。

技術屋として思わず目が潤む

日経ナントカ、という雑誌はやたらとあって、自分は3誌購読している。その一つに「日経ものづくり」というものがある。少し前まで「日経メカニカル」という名前だったが、メカに限らず製造業全般の話題を扱う雑誌である。

その6月号に、「被災直後のニーズに応える自転車を」というキャッチフレーズで、自転車業界が「災害対策」をテーマとした研究を募った記事が載っていた。応募したのは自転車メーカー2社と自転車販売チェーン店1社だった。

出てきたコンセプトは、荷台を大型にしたり、重いポリタンクを載せても安全なようにフレームを作り直したり、連結できる牽引車を用意したりなど、さまざまで面白い。

「これはすぐ欲しい」と思ったのは発電機を後輪に付け、空こぎして電気を起こすことが出来る機能だ。それで充電したライトを外して懐中電灯にしたり、USB電源に変換して携帯機器を充電することが出来るのだという。

結果も面白いが、別に「すごい」と思ったのは、各社の意気込みだ。メーカー2社は通常の製品開発とは全く違う体制で臨み、チェーン店はそもそも開発部隊など持たない中で取り組んでいる。

技術者や開発チームも、実際に被災地入りして被災者の声を聞いたり、チェーン店に集められたユーザーの声や震災時の状況調査をしてコンセプトを決めている。寄せられた声をなるべく実現しよう、と意気込み、機能を詰め込みすぎてしまったメーカーもあったが、その想いはすごいよく分かる。

今回の大震災は、今まで誰も経験したことがない。東海地震などで言われていたことを遙かに超えたことが起きている。しかし自分の専門を災害対策に生かす方法が分からず、もどかしかったり悔しい思いをした人も多いだろう。

そんなときに、会社が「やるべき!」という姿勢を打ち出し、特別体制を作ってまで始める。現地に出向いた技術者は、大変な状況を見聞きして、役立ちそうな機能を「これでもか!」と詰め込む。

何か自分たちの出来ることでお役に立てないか、というところを形にした技術者の方々に対し、記事を読んでいて思わず目が潤んでしまった。

世の中、やれることはまだまだいっぱいありそうである。